2011年4月26日火曜日

4.10「震災下の排外主義を考える」集会報告

 東日本大震災から丁度1ヶ月の4月10日、豊島区民センターにおいて「震災下の排外主義を考える フィリピン一家嫌がらせ事件から丸2年~外国人は日本社会の「邪魔者」なのか」集会が開催された。本集会は、昨年春頃より活動してきた当連絡会としての初めての公然とした集会であり、当日「反原発」の大きな集会・デモが行われる(高円寺には1万5千人が集まった!)中で、80名近くの参加者があり、活発な議論が行われた。
 集会に先立って池袋駅前で1時間にわたり情宣活動が行われ、町行く人々に、震災下でも流布されている差別・排外主義的なデマの問題などについて訴えがなされた。
集会では始めに、連絡会から、これまでの活動の報告や「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の批判に留まらず、その背景・底流にある日本社会の問題点を撃っていこうという集会の主旨が説明された。
 パネルディスカッションではまず、この間精力的に在特会を取材してきているジャーナリストのYさんから、被災地では、「朝鮮人、中国人の窃盗団が徘徊している」というデマがまことしやかに流されながらも、実際には復興需要を当て込んだ地元の建設会社がガソリン抜き取りを行っていたなど、「善良な市民」が普通に「外国人が~」と語る状況が報告された。また、「日の丸を持った瞬間だけ日本人になれた」という、イラン人を母に、日本人を父に持つ、ある在特会メンバーの屈折した心情が紹介された。
 在日朝鮮人人権協会のKさんからは、大震災下で地元の朝鮮学校も避難所になり、国籍を問わず協力し合っている事実が一切報道されていないこと、民族学校への高校無償化からの排除が大震災のどさくさの中で遂に年度末を迎え、今度は従来から少額ながら実施されていた助成金が、東京都や大阪、被災県の宮城県などで打ち切りになっている動きが報告され、戦後もなお続く日本の植民地主義、差別制度が具体例を挙げて批判された。
 続いて、2年前からいち早く在特会など排外主義勢力との闘いを展開してきたACAN(排外主義と闘う関西ネットワーク)のUさんからは、「在日外国人への参政権付与反対」を掲げて登場してきた在特会のあまりに露骨な姿に戸惑いながらも、時には300名を超える対抗デモによって彼らを「社会的に包囲」してきた経過が報告。そして、街頭行動だけでなく、全国の仲間とのつながりを作っていきたいと、今後の方向性が語られた。
 連絡会のFからは、この1年間、集会やデモの防衛活動を通じて、在特会からターゲットにされた人々の立場をどう守り、どのように繋がっていくのかにこだわってきたこと、人々の関心が原発問題に向き、「日本人はさすがだ」「ニッポン頑張れ」が合唱される状況の中で、ともすれば忘れ去られようとしている在日外国人の権利について今だからこそ考える重要性があると提起された。
 パネラーの報告、問題提起を受けて、ディスカッションに移った。在特会が盛んに「在日は生活保護などで優遇されている」と宣伝している点については、むしろ戦後長く生活保護や健康保険、年金など社会保障から制度的に排除されて来たと批判された。また、今回の大震災で帰国せざるを得なかった中国人研修生の処遇や、水産業で働いていたインドネシア人の多くが行方不明になっている事実が指摘された。
 集会の最後に、連絡会から、更に多くの人々を結集して、大震災下でより一層はびこる排外主義を許さず、有事体制を打ち破る大衆的なデモをやろうと提案され、それを担う実行委員会結成にむけた相談会への参加が呼びかけられた。