2016年11月29日火曜日

響きあう反ヘイトの声~10・16新宿デモ

響きあう反ヘイトの声~1016新宿デモ10.16ACTIONの報告―

 「生きる権利に国境はない!」「私たちの仲間に手を出すな!」。この言葉を、単なるスローガンではなく、実際の社会のあり方として実現していかなければならないと考えさせる事態が続いています。今年4月に起きた熊本地震では、「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」なるデマがネットで流されたかと思えば、沖縄・高江のヘリパッド建設阻止行動の現場では、機動隊員が抗議する市民に対して「土人」「シナ人」と差別暴言を浴びせるという事件も起きています(1018)。執拗なヘイトデモ・ヘイト街宣も各地で続いています。そして7月26日、相模原市の「障害者」施設で「(障害者抹殺が)全人類のために必要」と公言する犯人によって46人が殺傷(うち19人死亡)されるという衝撃的な事件が起きました。ヘイトが、ついに大量殺傷ヘイトクライムにまで行き着いてしまったのです。
 そのような全体状況を撃つものとして、私たちは今年の新宿デモを企画しました。題して「生きる権利に国境はない!差別・排外主義を許すな!1016ACTION」。130人の参加を得て、新宿駅西口・南口から靖国通りそして職安通りを2時間で歩きました。毎年秋この地区を歩く定例デモになっていますが、2011年から始まって今年で6年目になります。昨年あたりから沿道の反応が目に見えて良くなってきていますが、今年はさらに好感度がアップしている感じです。
 区役所前に曲がったときに、私たちのビラを受け取ってくれた20代の女性が、デモの様子をスマホで撮影し始めました。そこから職安通りの途中までずっと歩道を歩いて並んでいているので、職安通りに出たところで声をかけると、留学生だということでした。彼女は笑顔で小さく手を振ってれます。また沿道のコンビニから出てきた若いカップルが、手をつなぎ私たちの朝鮮語のメッセージを何度も唱和してくれています。
職安通りでは、先導車から私たちの用意した朝鮮語のコールや参加者の在日の方の朝鮮語のメッセージに、沿道の両側から沢山の笑顔があふれました。朝鮮語のシュプレヒコールに、反対側の歩道で朝鮮語で唱和する方がいました。教会のバザーに参加していた人が僕らの隊列に手をふっています。お店の人が仕事の手を止め店先に出てきて笑顔で手を振っています。ビルの上の階から窓を開け手を振ってくれる方もいます。

「自分たちの主張を訴える」ということを越えて、デモンストレーションが持っている本来の機能~周りの人に訴えを理解してもらって仲間を増やす~の萌芽が見え始めていると感じます。
 デモで歩きながら朝鮮語のコールで街の人々に訴えるという上記の試みは、数年前から行なっていますし、デモの1週間前に地元商店街に事前の告知ビラを配布することは最初の年から継続しています。それらの取り組みが実を結び始めた感触があります。

 デモの開始にあたっては、6つの団体・個人の方から連帯アピールをいただきました。「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」「『国連・人権勧告の実現を!』実行委員会」「全国『精神病』者集団会員」「辺野古リレー」「DA直接行動」「反天皇制運動連絡会」です。その皆さんからのアピールの内容は、政府自体が差別的な政策を推進していることで共通していました。
 「(在日コリアンの生徒を)日本の学校に入れているから差別はない」とする、あるいは「知的障害者」や「精神障害者」を「何も理解できない人間」と規定して「人権擁護」という衣のもとに権利を制限するなど、黒を白と言いくるめるようなウソの論理をもって差別政策が推し進められています。そしてさらに、PKOの「駆けつけ警護」で自衛官が海外で人を殺すということも予想されるというところまで事態は来てしまっています。そのような国が国連人権理事会の理事国に立候補しているというのは、まさしく政治的欺瞞以外の何物でもありません。
ヘイトがなくならないあるいは強まっている状況を変えるには、国家の政治のあり方を変える必要があることが浮き彫りになりました。アピールの中にあった「あらゆる人の命を守る」という言葉が、この日の行動に参加されたすべての人に共通する想いではないかと感じました。